
慢性腎臓病(CKD)とは「尿蛋白陽性などの腎疾患の存在を示す所見」、もしくは「腎機能低下」が3か月以上続く状態をいいます。最近慢性腎臓病に対する取り組みがわが国を含め、全世界的に進んでいます。
CKD(慢性腎臓病)の定義

一つめは、日本における慢性腎臓病の患者数は1330万人と推定されており、膨大な数の患者が存在することが明らかになったことです。また慢性透析患者数も年々増加しており2008年末には28.3万人に及んでいます。


(社)日本透析医学会 統計調査委員会「図説 我が国の慢性透析療法の現況(2008年12月31日現在)」
二つめは、慢性腎臓病は比較的早期から脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患を発症する確率や死亡率が上昇することが明らかになったことです。


三つめは、慢性腎臓病の治療が可能になってきたことです。今ある治療法を十分活用した治療を行えば、腎機能の悪化や心血管疾患の発症を抑制できることが分かりました。
慢性腎臓病が進行すると易疲労感、倦怠感、食欲不振、嘔気、浮腫などの症状が出現しますが、早期には自覚症状はありません。一般的に腎機能が低下する前から蛋白尿をきたすため、慢性腎臓病を早期に発見するには尿検査が有効です。特に糖尿病による腎障害の早期発見には微量アルブミン尿検査が重要です。
慢性腎臓病と診断されたら原因疾患の検索を行います。また血液検査を行い、血清クレアチニン値を用いた推算式(eGFR)により腎機能を評価します。それをもとに病期を5段階に分類し診療計画を決定します。



治療のポイントについては以下の通りです。

禁煙。メタボリックシンドロームなどの内臓脂肪が蓄積する腹部肥満では、蛋白尿や腎機能低下をきたしやすく、肥満の是正が必要です。
減塩(食塩摂取量6g/日未満)、蛋白制限
●腎臓病の食事療法のポイント

●蛋白制限

降圧目標は130/80mmHg未満。降圧剤は腎保護効果、尿蛋白減少効果が証明されているACE阻害薬かARBが第一選択薬として推奨されています。
厳格な血糖コントロールにより糖尿病性腎症の進展を抑制できることが明らかにされています。
脂質異常症治療薬であるスタチンには尿蛋白減少効果が示されており、尿蛋白を伴う慢性腎臓病では積極的な使用が推奨されています。LDLコレステロールは120mg/dl未満にコントロールすることが重要です。
慢性腎臓病が進行すると腎臓での造血ホルモン産生が低下するため貧血になります。貧血が進行したらエリスロポイエチンという造血ホルモン剤の注射を定期的に行います。


大きく分けて、透析療法と腎臓移植に分かれます。透析療法は血液透析と腹膜透析の2種類の方法があります。どの治療がよいか、どの治療が適しているのか?ということは一概にはいえません。年齢、生活スタイル、医学的条件など、さまざまなことを考慮して考えなくてはなりません。


またこれらの治療法は相反するものではありません。最初は腹膜透析を開始し、その後に血液透析に移行したりその逆もあります。血液透析と腹膜透析を併用する場合もあります。またどの透析形態からも移植を行うことが出来ます。

